室内環境
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東日本大震災から7年経過時の仮設住宅入居者の状況
丸尾 容子
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2019 年 22 巻 1 号 p. 65-72

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抄録
東日本大震災における仮設住宅の戸数の推移と仮設住宅の状況を調べることによって災害時の室内環境について考察を行った。仮設住宅戸数・入居した人数ともに経年により減少傾向であるが, 災害救助法に定められている応急仮設住宅の供与期間の2年では, 仮設住宅より退去した割合は約10%であった。震災後7年経過時においてもピーク時の約10%が入居しており, 宮城県や岩手県は入居期間を9年に延長する措置をとることを決定している 従って災害時でも健康的な室内環境で生活を送るためには応急仮設住宅の入居期間においては少なくとも50%退去が達成された5年との考えのもと設計・建築を行い, それなりの措置を講じることが必要と考えられた。また, 岩手県では借上型であるみなし仮設住宅の広さや築年数の調査及び入居者へのアンケート結果より, 築20年以上で60m2以下の木造住宅に入居した人が多かったことが判った。このような住宅は断熱・換気性能などが充分でないためカビや結露による室内環境の悪化が想定された。入居者は集合住宅での居住の経験がない人々も多いため, 健康な室内環境で生活するため換気設備など技術の対応とともに住民間の情報交換や生活指導など, ハード面とソフト面の両方の支援が重要と考えられた。
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© 2019 一般社団法人 室内環境学会
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