抄録
室内空気中の揮発性有機化合物(VOCs)測定において取扱いの容易なパッシブサンプラーに注目が集まっているが, 高沸点のVOCsへの適用例はまだまだ少ない。日本では新たに2-エチル-1-ヘキサノール, 2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(以下, テキサノール), 2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(以下, TXIB)の室内濃度指針値への追加が検討されており, パッシブ法による測定方法の確立が望まれている。そのためには沸点の高いテキサノールとTXIBの精確なサンプリングレート(SR)の算出が課題である。本研究では, これらの高沸点VOCsのSR算出のための曝露試験方法を構築するため, 曝露チャンバー内での安定した曝露濃度の制御方法の検討を行った。その結果, 指針値濃度(案)の約10~200%の濃度範囲において新規指針値候補VOCsのSRが得られた。また曝露試験の再現性は高くそれぞれの条件で得られたSRの変動係数は10%程度と十分に低い値であった。プレハブ内での空気測定では, パッシブ法の定量値はアクティブ法と同等でありパッシブ法の有効性が明らかとなった。また検出感度も高く, 新規指針値候補VOCsの指針値濃度(案)の1/10程度の濃度も計測することが可能であるため, 今後の室内濃度管理に役立つ測定方法であると考えられた。