室内環境
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原著論文
顕微蛍光X線分析を用いたハウスダスト中の鉛含有物の探索
高木 麻衣 瀬山 春彦田中 敦吉永 淳
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2022 年 25 巻 2 号 p. 159-167

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抄録
低レベルの鉛曝露による小児の認知機能及び成人の腎機能への影響について, 世界各国で行われた疫学調査の結果から, 閾値が不明瞭であることが指摘されている。日本人の鉛ばく露レベルは低いが, 可能な限り人々の鉛曝露を低減化する必要があると考えられている。日本人の主要な鉛曝露源であるハウスダスト中鉛の起源を探ることを研究目的とし, 2006~2007年に国内の一般家庭10戸の住宅から採取し, 粒径250 μm以下の分画の鉛濃度が126~1400 mg kg-1と高い濃度であった掃除機塵中の鉛含有物の探索を, 顕微蛍光X線分析法(XRF)等を用いて行った。粒径250 μm以上の掃除機塵から, 様々な色や形の粒子を選び出し, 顕微XRFにより, 鉛含有物の特定を行った。分析した掃除機塵試料から, 推定濃度として数%~数十%の鉛を含有する物体が7つ発見された。色調・形態の観察やXRFスペクトル解析, 粉末X線回折分析(XRD)を行った結果, これらはMo, Cr, Ti, Baなどが共存する塗料片や鉛系の安定剤を使用したポリ塩化ビニルの破片と考えられた。これらが細断され, 細かい破片となってハウスダストに混入して鉛濃度が高くなる可能性があることが示唆された。こうした塗料やポリ塩化ビニルを使用する製品を特定し, 使用を中止することで, 室内塵の鉛汚染レベルの低減化を図ることができると考えられた。
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© 2022 一般社団法人 室内環境学会
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