抄録
本研究は, 光触媒工業会の性能認証を受けている可視光応答型光触媒の室内環境改善効果を検証するため, 市営複合施設9階ロビーの内装材表面に可視光応答型光触媒をスプレーガンでコーティングして, 室内照度の他, ATP拭き取り検査や化学汚染物質濃度などを数ヶ月毎に約2年間にわたって実測した。その結果, ロビー内の照度は南面ガラス窓から入射する太陽光によって, 光触媒工業会が光触媒効果の発揮目安として設定している最低限の照度200 lx以上を, 通年で満たしていることを確認した。ATP拭き取り検査では, 光触媒施工済サンプル群の方が光触媒未施工サンプル群よりも1%有意水準でATP量平均値が64%低くなっていることを確認し, 実環境において長期継続的に光触媒効果が起こっていることが示唆された。化学汚染物質濃度の実測結果より, アセトアルデヒドでは光触媒施工済サンプル群の方が光触媒未施工サンプル群よりも1%有意水準で濃度平均値が40%低くなっていることを確認した。実環境での光触媒効果による室内環境改善効果は, 短期的には外気導入などの外乱要因によって効果を把握しにくいが, 長期的な実測データを蓄積し, 統計的な分析を行うことによって, 定量化できることが示唆された。