日本シルク学会誌
Online ISSN : 1881-1698
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ISSN-L : 1880-8204
原著
スーパーハイブリッドシルク和服の洗濯性能
栗岡 富士江青木 昭
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2001 年 10 巻 p. 37-42

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抄録
 ウォッシャブルきもの地の開発を目的として、スーパーハイブリッドシルク (SHS) を用いて試作した着尺を袷に仕立てた。 日常着として着用するきものとしての性能を明らかにするために、仕立て過程の可縫性、着用性能および家庭用洗濯機による洗濯性能等をアンケート調査を含めて検討した。
 SHS織物の裁断、縫製等の扱い易さに関するアンケート調査では、正絹きものに比べて仕立てにくく、本縫い、アイロン・こて掛け等の評価が低く、縫い糸の種類やアイロン温度等がきものの仕立て感に強く影響することがわかった。 洗濯による寸法変化の範囲は1.5~-1.0%で、袖口・袖付け・肩幅は伸長し、その他の部位は収縮する傾向がみられた。生地の変退色は4~5級を示し、縫い目のつれ・ほつれ・シワ・布のたるみ等の発生はなく、着用に支障となるほどの外観の変化はみられなかった。 試着試験での着心地や動き易さ等には、概ね肯定的な意見が多かった。SHS織物のきものは、日常着として支障なく着られ、家庭で容易に洗えることがわかった。
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© 2001 日本シルク学会
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