2004 年 45 巻 2 号 p. 1-8
理科教育における,科学的な問題解決能力育成の重要性については1950年代から指摘されてきたが,科学的な問題解決能力を身につけていない中学生が多いと言われている。科学的な問題解決能力の要素の1つであるプロセス・スキルズに着目し,中学校における指導状況について調査を行い,実態を明らかにすることは,重要な意味を持つものと考える。そこで,中学校理科教員を対象に,プロセス・スキルズの指導にどのくらい力を入れて指導し,どの程度定着していると感じているか,また,日常の授業実践においてどのような工夫をおこなっているのかについて質問紙による調査をおこなった。その結果,次の事柄が明らかとなった。(1)中学校埋科教員はプロセス・スキルズの指導に力を入れているにもかかわらず,定着していないと感じている傾向のあることが明らかとなった。(2)探究的姿勢の強い理科教員は,仮説の立案や課題を明確にする活動を取り入れ,実験・観察の条件統一や結果予想などのプロセス・スキルズに力を入れて指導している傾向が認められた。(3)探究的姿勢の強い理科教員は,グループの話し合いや発言の場を多くとるなど,協同的な学習の場の構築にも配慮して指導している傾向が認められた。