理科教育学研究
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原著論文
ペットボトル簡易気圧計の教材開発とその教材を利用した気象観測実習
榊原 保志小髙 正寛
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2007 年 48 巻 2 号 p. 35-44

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抄録

本論はペットボトル簡易気圧計を用いた気象観測実習の新しい方法を提案した.階段を上り下りすることにより,ペットボトルに刺したストロー内の水面の変化から気圧の変化を読み取る実習である。気圧が減少/増大するとストロー内の水面は上昇/下降する。校舎の各階で気圧を観測した結果,各々の階と1階の気圧差には比例の関係があり, 4階と1階には1hPa以上の気圧差が認められた。階を上り下りする際に生じる気圧の変化量でも水面の変化は十分読み取ることができた。気温の変化がなく, 1 hPaの気圧の変化があったときの水面の変化について理論的に考察を行ったところ,ストローの半径が小さいほど,ペットボトルに入っている空気の体積が大きいほど,ペットボトルに入れる液体の密度が小さいほど水面の変位は大きくなることが分かった。エレベーターによって1階と4階を移動する実験でもおおむね同様な結果が得られた。この簡易気圧計を用いた授業を琉球大学教育学部附属中学校において実施した結果,多くの生徒が水面の変化を確認できたこと,この教具は役立ち実習が楽しいと感じたこと,そしてこの実習は天気の学習に意欲を高めることなどが分かった。

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© 2007 日本理科教育学会
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