理科教育学研究
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小学校における「生き物と養分」の理解を深める光合成と消化の授業構成
福島 恵美子正元 和盛
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2007 年 48 巻 2 号 p. 149-157

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抄録

6年理科「A生物とその環境」では,生物のからだのつくりと働き,養分のとり方をそれぞれ別の単元として学習する。そこで生物と養分の理解を深めるためにこれらの単元を関連させた単元を構想し,授業実践を試みた。改良たたき染め法を用いることによって葉の形もくつきりと簡便にプリントできることから,日光があたって葉にでんぷんができることを定着させるとともに,達成感と意欲的な学習態度を持たせることができた。さらに,糖検出改良実験法を用いて,児童は植物体内の糖の存在を確認できた。また,だ液によるでんぷん分解で糖ができることを,小学生でも扱える安全で視覚的にもわかる実験法に改良した発色試薬法を用いて,確認できた。それらの実感を伴った事実確認に基づき児童間の考えの交流をしたり,動植物の体内で起こっていることを推測して図や表にしたりして,確かな理解ができた。植物による光合成産物の蓄積と転流および動物の消化を,でんぷんと糖という視点から考え,「でんぷんを糖にかえる」という生物共通の仕組みの認識を新たにし,多面的に生物を捉えようとする姿勢が見られた。

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© 2007 日本理科教育学会
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