理科教育学研究
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原著論文
粒子概念の位置づけと物質学習カリキュラム
菊地 洋一武井 隆明三田 正巳高橋 治村上 祐
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2008 年 49 巻 1 号 p. 35-51

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抄録

本研究でははじめに物質学習における粒子概念の位置づけを整理した。粒子概念の位置づけを考えた際に最も重要なことの1つは,種々の場面で活用する概念だということである。そこで次に現在の中・高校生にとって,物質の基本的な現象を説明するのに粒子概念が使えるものになっているのであろうか?という点に問題意識を持って現状調査を行った。その結果,空気と水の圧縮に関する現象の違いを科学的に説明する問に対して正答率(10%以下)は大変低かった。今回の調査からは粒子概念を繰り返し学習している学習者でも,粒子概念を基本的な現象の説明に使えるようになっていないことがわかった。さらに,物質を構成する粒子に対する基本的な認識が不十分であること,および気体,液体に対するミクロのイメージが希薄であることの実態も浮かび上がってきた。これらのことは物質学習に関する現在のカリキュラム構成と考え方に問題があるためと考える。そこで最後に粒子概念の位置づけと調査結果をもとに新たなカリキュラム構築についての考えとカリキュラムの大枠の案を提示した。

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© 2008 日本理科教育学会
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