理科教育学研究
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原著論文
認識論的Vee地図の教授論的な活用に関する考察
佐藤 寛之森本 信也
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2008 年 49 巻 1 号 p. 53-63

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抄録

ゴーウィンの考案した認識論的Vee地図とは,子どもの科学的概念の構築とこれをサポートする観察・実験をはじめとする科学の方法論との結びつきを示したもの,すなわち,学習者の自然認識の深化・拡大のプロセスに対応した科学の方法を記述しつつ,子ども自身にもその状況についてメタ認知を促すものである。また,教師による子どもの学びの評価を考えると,真正のアセスメントの基準や構造の構成要素より,認識論的Vee地図はその視点をもたらすと考えることができる。本研究では,認識論的Vee地図の作成を念頭に置いた理科授業デザインにより授業を実践し,授業における学習の流れを示す矢印と子どもの考えを表した記述や発言を入れた,教師による認識論的Vee地図の作成を試みた。その結果,認識論的Vee地図による授業分析は,子どもの理解の状況とその理由を教師に提供することが明らかとなった。このように子どもの自然事象への理解に関する情報を得たとき,授業に関する全体像を俯瞰して子どもの学びを考えていくという教授と評価の形が成立する。

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© 2008 日本理科教育学会
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