理科教育学研究
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原著論文
小学校における電流の概念獲得のための「粒子傾斜モデル」の有効性
石井 健作本間 均
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2009 年 49 巻 3 号 p. 23-32

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抄録

本研究では,小学校の理科学習における教授過程で,学習者が電流概念の獲得を行う際の,「粒子傾斜モデル」の有効性についての研究を行った。今までに用いられてきた「アナロジー型モデル」の特徴を踏まえ,新しい「粒子傾斜モデル」の開発を行った。開発した「粒子傾斜モデル」は,学習者に視覚的にわかりやすく,操作しながら直感的に理解しやすいことを考慮した。また,この「粒子傾斜モデル」を用いて小学校4年生を対象とした実践授業を行い,電流の「流れ」や「向きや強さ」についての概念獲得の様子を分析した。その結果以下の3点から,「粒子傾斜モデル」の有効性が明らかになった。①新しい内容を学習する時に学習者自らが「粒子傾斜モデル」を活用しながら考えるようになる。②電流の「流れ」を意識した概念をより強固にもつことができるようになる。③電流の「向きや強さ」についての科学的に妥当な概念を獲得することができる。

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© 2009 日本理科教育学会
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