理科教育学研究
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原著論文
昆虫の同定に関する児童・生徒の実態 : 文部省唱歌「虫のこえ」に登場する直翅目(バッタ目)について
佐伯 英人
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2010 年 50 巻 3 号 p. 101-107

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抄録

「虫のこえ」という歌の歌詞には”直翅目Orthoptcra”に属している昆虫が登場する。本研究では、この歌に登場する昆虫を対象として、「児童・生徒が昆虫の姿を見たり、鳴き声を聞いたりすることで、どの程度、昆虫を同定することができるのか」と「性の違い・属性(学校,学年.所在地)の違いによって昆虫を同定する程度に差がみられるのか」を明らかにするために調査を行った。その結果、次の①~③のことが明らかになった。①「虫のこえ」に登場する昆虫について一部(エンマコオロギTeleogryllus emmaとスズムシMeloimorpha Japonica)を除き、姿を見て同定することは難しい。また、すべての昆虫で鳴き声を聞いて同定することは難しい。②男子と女子では昆虫を同定する程度に有意な差がみられ、女子は男子よりも昆虫を同定することが難しかった。③学校の違い、学年の違い、所在地の違いといった児童・生徒の属性の違いによって、昆虫を同定する程度に有意な差がみられなかった。

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© 2010 日本理科教育学会
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