理科教育学研究
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原著論文
日本の初等中等段階の理科カリキュラムにおける体験活動の位置づけ : 大正前期から昭和前期までの「工場見学」のディスコースを事例にして
郡司 賀透
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2010 年 50 巻 3 号 p. 91-100

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抄録

日本の理科カリキュラムにおける体験活動の特徴の一端を明らかにするため,第二次世界大戦前に各地の理科授業で行われていた「工場見学」のデイスコース(言説)に着目した。主に大正前期から昭和前期に発行された教育雑誌記事にみられた(1) 工場見学の意図と(2) その問題点と打開の仕方について類型化した。その結果,(1)には3つの類型を,(2)には4つの類型を見つけることができた。(1)については,A. 実用主義と校外教授,B. 郷士化運動と理科教材,C戦時体制と工場見学である。(2)については, A. 見学可能な工場の調査,B. 実物教授の推奨,C. 視聴覚メディアの活用,D. 教科外活動への編入である。これらの類型に基づきながら.当時の日本の理科カリキュラムの「工場見学」に見られた理科カリキュラム・デイスコースの推移を探り,そのモデルを提示した。

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© 2010 日本理科教育学会
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