理科教育学研究
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原著論文
メタ認知を活性化する観察・実験活動が高校生の科学的知識の理解に及ぼす効果 : 高等学校化学「混合物の分離・同定」を事例として
草場 実湯澤 正通角屋 重樹
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2010 年 51 巻 1 号 p. 39-50

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抄録

本研究の目的は,高等学校化学において,メタ認知を活性化する観察・実験活動が,高校生の科学的知識の理解に及ぼす効果について実践的に実証することであった。まず,化学I「混合物の分離・同定」を事例として,高校生のメタ認知を活性化する観察・実験活動をデザインした。そして,公立高等学校の高校2年牛を対象とし,処遇群(18名)には本観察・実験活動を行い,一方,対照群(30名)は,混合物の分離・同定の原理を帰納的に導出するための観察・実験活動を行った。両群のメタ認知活動及び「混合物の分離・同定」の科学的知識を比較検討した結果,以下のことが明らかとなった。1. 科学的知識を活用するための手段として位置づけた観察・実験活動は高校生のメタ認知,特に,“実験前の自分自身によるメタ認知”と“実験後の他者との関わりによるメタ認知”を活性化した。2. 処遇群は,対照群より科学的知識の理解に関する課題,特に,空所補充課題と転移課題の得点が高かった。

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© 2010 日本理科教育学会
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