理科教育学研究
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原著論文
理科教育におけるアーギュメント導入のための教授方略―IDEASプロジェクトに焦点をあてて―
泉 直志
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2011 年 52 巻 2 号 p. 11-21

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抄録

本研究では,理科授業の中ヘアーギュメントを導入するための観点と具体的な教授方略をイギリスの教師教育プログラムであるIDEAS(Ideas. Evidence and Argument in Science)プロジェクトから見いだした。教師に必要とされるアーギュメント指導の観点を「アーギュメントの重要性についての理解」,「学習環境についての理解」,「学習課題の構造についての理解」.「教授技能についての理解」として特定した。本稿ではさらに実際に想定される授業展開としてアーギュメントの導入・展開・評価の各授業場面を設定し,そのそれぞれの場面で, どのような指導が行われうるのかについて具体的方略をIDEAS教材から抽出した。その結果,アーギュメントの導入場面では,アーギュメントの構成要素を適切な用語を用いて学習者に導入すること,学習者に期待するアーギュメントの規準について意図的に指導を行うこと,アーギュメントの構成を促す課題を用意することを指導のための指針として抽出した。アーギュメントの展開場面では,アーギュメントを構成するための質料を提供すること生徒に役を与え異なった立場に立たせることを指導のための指針として抽出した。最後に,アーギュメントの評価場面では,効果的なフィードバックが行えるように学習者にアーギュメントの形式的評価を行うこと,反証を基準としたアーギュメントの質についての評価を行うことを抽出した。

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© 2011 日本理科教育学会
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