2011 年 52 巻 2 号 p. 171-177
小学校で使う身近な楽器を使った中学校理科学習カリキュラムを開発し実践した。ほとんどの生徒が学んだことのある鍵盤ハーモニカを分解して,そのしくみを知るという学習を行った。小学校で慣れ親しんだ楽器がどのようなしくみで嗚るのかを調べるという点で,生徒に知的好奇心を持たせ,楽器の中に潜む理科の工夫に気づかせることで,理科が役に立つ教科であることを実感させることができた。また,分解しながらもののしくみを知るという学習は,生徒の科学的な思考力の育成に有効であると思われる。中学生や,小学校教員をめざす大学生に行った実践授業後のアンケートでは,新鮮で興味深かったという感想が多く見られ,内容面でも理解できた,面白かったという回答が8割に上った。