2012 年 53 巻 1 号 p. 163-168
メダカの卵発生を顕微鏡で観察する際に,掲示物接着用シール(商品名:ワッポンなど)を用いる方法を考案した。スライドガラスにワッポン片2つを1cm程度の間隔で貼り付け,その間に水と卵を置き,カバーガラスを被せるという方法である。ワッポンの厚さはメダカの卵の直径よりもわずかに薄いため,カバーガラスによって卵はわずかに圧迫される。カバーガラスをワッポンの上でスライドさせることにより,卵を見たい方向に転がすことが可能である。この方法は従来研究用に用いられてきたスライドガラスに薄いガラス板を貼り付ける方法に比べ,材料費が安価であり,きわめて簡単に作成でき,児童・生徒が自ら作成することも可能である。しかも観察結果の鮮明さはガラス板を貼り付ける方法と同程度であった。今後,小中学校の理科や高等学校の生物の授業などで大いに活用できる方法である。