2013 年 54 巻 2 号 p. 171-179
公立中学校の生徒と教員養成系大学の学生に「力と運動」に関わる調査問題と概念地図を出題し,それぞれにどのような対応関係が確認できるのか調査した。その結果,「力と運動」の学習を行っていない中学生の概念地図は「力がはたらく」を上位ラベル,「力がはたらかない」を下位ラベルとし,物体の運動を日常生活での経験を踏まえて概念地図上に表記する傾向が認められた。一方,大学生は「力がはたらく」と「力がはたらかない」を上位ラベルとして力学概念を構成する傾向が確認され,特に科学的に妥当な概念を保持している可能性が高い大学生の場合,「力がはたらく」と「力がはたらかない」を中心的なラベルとし,運動の第1 法則と第2 法則に関わるラベルで分離して力学概念を構成する傾向が確認された。