本研究では,理科学習に対する女子の意識や態度の改善を目指し,諸外国の先行研究を参考に,「女子の興味や経験に基づくトピック」,「美的観賞を含む協同的な問題解決活動」,「想像的な記述活動」の3 種類の方策を考案した。そして,中学校理科「電流」単元の授業にそれらを具体化し導入した。その結果,女子の授業中の態度や理科学習に対する意識について,以下の5 点が明らかとなった。
1) 3 種類の方策に対して,「楽しかった」と肯定的に捉える女子が多く,取り組み方も良好であった。
2) 特に「美的観賞を含む協同的な問題解決活動」における「オリジナル電飾づくり」が女子の好感度が高く,強く印象に残る活動であった。
3) 授業に複数導入した「トピック」と「記述活動」の中には,本単元の通常の授業進行における実験と比較して女子の好感度が高いとはいえないものもあった。
4) 単元終了後に,女子の理科学習に対する意識は低下しなかったが,将来への理科の有用性を感じられなくなる傾向が見られた。
5) 新たな方策を導入した本実践授業において,女子は概して「電流」単元の学習を楽しみ,その内容の面白さを感じていたものの,その理解については他の単元の学習内容よりも困難であることを表明した。
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