理科教育学研究
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原著論文
中学校理科における解剖実習の実態と第 2 学年「動物の仲間」における解剖実習
佐伯 英人沖野 公祐
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キーワード: 解剖実習, 調査, 動物の仲間
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2014 年 54 巻 3 号 p. 347-356

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抄録

中学校の第2 学年の単元「動物の仲間」において「無脊椎動物の仲間」が新しく導入され, 教科書には解剖実習が掲載された。本研究では, 2008 年度~2012 年度の中学校理科の授業における解剖実習の実態を調査した。その結果, 近年, 中学校の第2 学年の理科において解剖実習が実施されるようになってきたことが明らかになり, 主に解剖実習で用いられている材料はイカとアサリであることが分かった。
また, 本研究では「無脊椎動物の仲間」において解剖実習を行い, 実践研究を行った結果, 解剖実習中に生徒が観察した部位・器官等に関する知見を得ることができた。その他, 生徒の意識の変容, 生徒の理解の程度について調べた結果, 明らかになったことは次の3 つである。
① スルメイカとアサリを材料とした解剖実習の前後において, 生徒の「解剖に対する意識」は, ポジティブな方向へも, また, ネガティブな方向へも変容しなかった。
② 単元終了時, 生徒の理解の程度を調査した結果, 脊椎動物の理解の程度において学級間に有意な差がみられなかった。一方, 無脊椎動物の理解の程度において学級間に有意な差がみられた。
③「無脊椎動物の仲間」の学習が , 「動物の仲間分けに興味がある」という意識を高めることに有効であるとはいいきれなかった。一方, 「生物を大切にしたい」という意識の高まりを維持することには有効であった。

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© 2014 日本理科教育学会
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