抄録
科学的リテラシーが調査の中心分野であったPISA2006では, 日本は上位グループに位置していることが示された。一方で, 生徒の「科学に対する態度」は, 諸外国と比較して肯定的な回答が全般的に少ないことが示されている。本研究では, 生徒質問紙によって測定された「科学に対する態度」が「科学的リテラシー」に及ぼす影響の構造的分析に際し, 日本のデータが潜在的には複数の集団に分けられるのではないかという仮説のもと, 構造方程式モデリングによる潜在構造分析を行った。その結果, 日本の生徒を2つの潜在的な集団に分けることができた。また, 両群を比較した結果, 「科学的リテラシー」に対する「将来志向的な動機づけ」及び「道具的動機づけ」の影響において顕著な違いが明らかとなった。