理科教育学研究
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原著論文
「流水の働き」において条件制御の学習を実現するための教材開発とその有効性
―直線水路型流水実験装置の開発と授業実践を通して―
水石 正幸庭瀬 敬右
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2019 年 59 巻 3 号 p. 477-488

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抄録

小学校理科第5学年では「流水の働き」を含む5つの学習項目で条件制御の能力を育成することが目標とされている。しかしながらこれまでの研究で,「流水の働き」の学習で行われている土で作った坂に水を流す流水実験は,客観性や再現性の低さから条件制御に適しにくいことが指摘されている。本研究は,流水実験の条件制御教材としての問題点を解決するために「直線水路型流水実験装置」を開発し,教材としての有効性を授業実践の分析から確認することを目的とした。開発した教材に対して児童の学習活動を4QS(The Four Question Strategy)の観点から分析を行った結果,条件制御の学習の条件を満たしていることが明らかとなった。また,授業実践後に実施した児童への質問紙調査では,今回開発した「直線水路型流水実験装置」が条件制御の学習に効果があったことが示された。自由記述の回答分析からも,条件制御に関する気づきや考察が行われていたことが明らかとなった。これらの結果から「直線水路型流水実験装置」とその指導法が条件制御を学習する教材として有効であることが示された。

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© 2019 日本理科教育学会
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