2019 年 59 巻 3 号 p. 325-334
本研究の目的は,小学校理科授業において対照実験を設定しない検証計画に焦点をあてて,独立変数の操作の前に測定を行う実験手続きを指導するために有効な指導方法を明らかにすることである。本研究では小学校6年生(n=152)を対象に,指導方法の異なる3つの指導群を設定し第6学年「ものの燃え方と空気」の単元において授業実践を通した検討を行った。その結果,実験班で実験の計画を話し合った後に教師がそれを補完する教示を行うという指導方法が,児童による実験手続きの技能面,認知面の理解のいずれにおいても有効であることが明らかになった。また,児童が実験の計画を話し合う場面を設定せずに,教師が実験の手続きとその理由を教示する指導方法は,児童の理解を浅い水準にとどめてしまうことが明らかになった。この結果は,児童が主体的に実験を計画する活動を理科授業において実施することを支持するものである。