理科教育学研究
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原著論文
プロセス・スキルズを精選・統合した「探究の技能」に基づく観察・実験等の類型化とその探究的特徴
―中学校理科教科書の分析を通して―
山田 貴之田代 直幸栗原 淳一小林 辰至松本 隆行木原 義季山田 健人
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2021 年 62 巻 2 号 p. 497-511

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抄録

本研究では,2020年検定済のY社の中学校理科教科書に掲載されている全観察・実験等を対象に,長谷川ら(2013)が開発した「探究の技能」の含有率の傾向から類型化し,導出された各群の探究的特徴を明らかにすることを目的としてクラスター分析を行った。その結果,以下のことが明らかとなった。(1)2020年検定済のY社の中学校理科教科書に掲載されている観察・実験等は,「探究の技能」の傾向によって6つに類型化される。(2)第1学年の観察・実験等には,事象のようすや性質,構造,変化の特徴を定性的・定量的に記録させたり,分類の観点・基準に基づいて定性的に識別させたりする傾向がある。(3)第2,3学年の観察・実験等には,仮説や実験計画を立てて,事象のようすや性質,変化の特徴を定性的・定量的に捉えさせたり,独立変数を制御し,従属変数の変化のようすや特徴を定性的・定量的に捉えさせたりする傾向があること,定性的な結果についてはモデルを使って考察したり,定量的な結果については表に整理しグラフ化して考察したりする傾向があることが示唆された。(4)「探究の技能」の観点において,小中学校の観察・実験等の間には,内容に多少の違いは見られるものの,対応する探究的特徴が認められる。

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© 2021 日本理科教育学会
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