2022 年 62 巻 3 号 p. 577-584
本研究の目的は,「教科書に即した密度の理科授業」の後に,「密度の理科発展的授業」と「比例の数学授業」のどちらを先に学ばせる方が,生徒の密度概念の理解に効果があるのか,学習の順序性による影響を検証することであった。この目的を達成するために,2つのグループ(理科発展→数学,数学→理科発展)を設定し,「密度の理科発展的授業」及び「比例の数学授業」を実施するとともに,密度に関する調査問題(密度テスト)を行った。その結果,「比例の数学授業→密度の理科発展的授業」といった学習の順序により,生徒の密度概念の理解が促進されること,特に内包量概念の第3用法や保存性の理解に効果があることが示された。ここに,理科と数学の学習の順序性による内包量概念の理解への効果が明らかとなった。