理科教育学研究
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原著論文
「関数的な見方・考え方」を働かせる授業方略が2量関係の理解および「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に対する意識に及ぼす影響
―中学校第1学年理科「フックの法則」において―
河本 康介山田 貴之
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2022 年 63 巻 2 号 p. 267-280

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抄録

本研究の目的は,中学校第1学年理科「フックの法則」において,「関数的な見方・考え方」を働かせ,かつ「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」を構成する因子を高める授業方略を組み入れることによる,2量関係について,実験結果の表からグラフを作成して式に表したり,表やグラフ,式を分析・解釈したりする力や,「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に対する意識に及ぼす効果を明らかにすることであった。この目的を達成するために,中学校第1学年の生徒を対象としたフックの法則の理科授業を行い,2量関係の理解の程度を測定する調査問題と,「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に関する質問紙調査を行った。その結果,比例関係にある事物・現象のグラフから比例関係的に考察する考え方と,比例関係を示すグラフの直線から式化する力の育成に効果があることが明らかになった。また,実験群の事前~事後で,4因子(因子2「関数的な見方・考え方」,因子3「理数学習の有用性」,因子4「理科における学習方略」,因子6「数式化・数値化の意識」)に有意な上昇が認められ,「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に対する意識の向上に一定の効果があることが示唆された。本研究の授業方略は,2量関係を理解させ,「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」を認識させる上で,一定の効果があることが明らかになった。

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© 2022 日本理科教育学会
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