理科教育学研究
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原著論文
理科学習におけるグループ内での対話の特徴と役割
―5年「ものの溶け方」の学習を事例にして―
鐙 孝裕
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2023 年 64 巻 2 号 p. 113-124

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抄録

本研究では,理科学習におけるグループ内での対話の特徴と役割を明らかにするために,3つの分析方法を用いて量と質の両面から検証することを試みた。その方法として,行動ビッグデータを収集分析するシステムの「ビジネス顕微鏡」を用いて,グループ内でのコミュニケーションの状態を可視化し,その様相と量を明らかにした。コミュニケーション量を基に,グループを2つの群に整理し,予想とまとめに記述された内容を,それぞれ大量の文章データをクラウド上で定量的・定性的に分析・可視化するテキストマイニングツールの「User Local AIテキストマイニング」を用いて分析したところ,グループ内でのコミュニケーション量が,個人の意味生成に影響を与えることが明らかになった。さらに,コミュニケーション量高位群と低位群のプロトコル分析を行なったところ,意味生成につながる発話の特徴を整理することができた。以上のように3つの分析方法を用いて明らかになった子どもの様相を基に,意味生成につながる他者との関わりを検討した。以上の研究成果は,理科学習におけるグループ内での対話の意義を高めることに貢献する。

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© 2023 日本理科教育学会
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