本研究は,問いの設定場面における変数を見いだす力を育成する指導法の開発を目的とした。研究の目的を達成するために,複数事象の比較と変数間の因果関係の整理を中心とした指導法を構想し,2群事前・事後デザインによる効果検証を実施した。小学校第3学年の児童74名を対象とした半年間の介入を行った結果,実験群では変数を見いだす力の得点が有意に向上し,介入の効果が認められた。質的分析の結果からは,変数を見いだすための明示的な手立てと児童の躓きに応じた支援を提供し,原因と結果を分離した形で変数を表現させたことが実験群の能力の相対的な高さに貢献していたことが示唆された。