理科教育学研究
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原著論文
Ti-Ni形状記憶合金ばねを用いた結晶格子学習教材の開発
北村 一浩小池 守倉山 智春山際 清史
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2024 年 64 巻 3 号 p. 249-263

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抄録

本研究は,金属の結晶構造を理解するため,形状記憶合金が形状変化する原因を結晶構造の変化で説明する教材の開発を行うとともに,開発した教材を用いた検証授業を行うことにより,教材の有用性を検討したものである。その結果,以下の3点が明らかになった。1)生徒は,格子模型を手に取り,様々な角度から観察することにより,結晶構造についての理解を深めることができた。2)生徒は,新たな事物・現象と出会い,考えるきっかけや視点が得られたことから,形状記憶合金を教材として有用であると考えていた。3)生徒は,格子模型を用いた学習を通して,結晶構造が化学の基本原理を学ぶ上で重要であることに気付いた。以上のことから,本研究で開発した形状記憶合金が形状変化する原因を結晶構造の変化で説明する教材は,結晶構造の理解を促すために有用であることが示唆された。

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