2024 年 64 巻 3 号 p. 265-274
街中に位置する学校はコンクリートやアスファルトに囲まれ,そもそも露頭などの材料が乏しく地層の観察が困難であることに加え,野外観察のための移動時間確保の問題もあり,地層の観察を行うこと自体が難しい。そのため,本研究ではまずボーリングコア(オールコア試料+部分ペネ試料)という着眼点で学校の中で学校地下の地層を観察する手法を試み,街中の学校に通う児童にもその生活圏にある学校の土地の成り立ちを学ぶことができる授業法を提供する。さらに本研究では,その効果を検証するためボーリング試料をオールコア試料(コア試料)と部分ペネ試料(ペネ試料)に分けて授業法を実践した。ペネ試料はコア試料に比して,堆積物が抜き出されているため,堆積物を見分けるのには活用しやすい反面,ペネ試料では地層とそれを構成する堆積粒子との違いが児童にとって不明瞭となりうることも分かった。そのため,コア試料が持つ地層としての性質は教材として重要ではあることが明瞭になったが,扱う際には物理的な欠点も多い。本論は,学習効果・教材としての扱いやすさなどを両試料について比較した初めとの報告である。