2024 年 65 巻 2 号 p. 309-322
本研究では,小学校理科におけるモデリングとメタ認知機能の関連付けを高め,科学的な問題解決活動を促進する理科授業デザイン方略の開発を目指した。具体的には,Halloun(2006)が指摘するモデリング学習サイクルと小学校理科における問題解決活動との関連を精査した。さらに,モデリングに関わる認知機能として,猪口ら(2018)の個人内メタ認知と社会的メタ認知におけるモニタリングとコントロール機能に着目し,モデルの変容過程を詳細に分析することで,科学的な問題解決を促進する授業デザイン方略の具体化を試みた。事例的分析の結果,モデリング学習サイクルにおいて,子どもがメタ認知を機能することで,モデルを科学的に変容することと連動して,溶解概念を構築することが明らかとなった。さらに,そのサイクルでモデルの理解やメタ認知が促進することも明らかとなり,モデリング学習サイクルとメタ認知機能の関連付けに基づく授業デザインフレームワークを開発することが可能となった。