2025 年 66 巻 1 号 p. 53-65
本研究は,メタモデリング知識の理解を深める小学校理科学習指導法を試行し,その効果を検証することを目的とした。この目的を達成するために,小学校第4学年「物の温度と体積」において「モデリング」を取り入れた授業実践を行った。具体的には,水を半分入れた金属製のボトル缶を用意し,その飲み口に洗剤の膜を張って温めると膜が膨らむ現象を提示し,その現象を統一的に説明できるモデルを構築していく学習指導法を実践した。児童は,空気,水,金属の温度と体積の関係を検証する実験を通して,作成したモデルを棄却または修正していった。分析の結果,本指導法は,メタモデリング知識の中でも「暫定性」「特徴の顕在化」の理解に寄与することが示唆された。一方で,「現象の説明・予測」「限界性」の理解については影響を及ぼすとはいえないことが示唆された。