2025 年 66 巻 1 号 p. 89-100
本研究では,動画コンテンツを用いて,リアルタイムにメタ認知を働かせることで,批判的思考スキルを測定・評価することができる手法を開発することを目的とした。濁川・小倉(2022)を参考に,「メタ認知を働かせて科学的探究過程における様々な「不確かさ」に気づき敏感であること」を批判的思考スキルを身に付けた状態と定義した。理科学習の様子を演じた動画を視聴しながら,見つけた「不確かさ」をワークシートに指摘していく活動を行うことで,リアルタイムにメタ認知を働かせることを要求し,「不確かさ」に気付くことができているかを評価する動画コンテンツを開発し,異なる内容の動画コンテンツを2つ作成した。本手法を用いて実際に批判的思考スキルを測定・評価することが可能であるかを確かめるために,小学校第6学年の児童を対象に調査を実施し,結果の分析を行った。その結果,本研究にて開発した動画コンテンツは,リアルタイムにメタ認知を働かせて,批判的に思考・判断する批判的思考スキルを推定できること及び作成した2つの動画コンテンツを用いた測定結果の間に高い相関がみられ,信頼性の高い測定が可能であることが示された。また,本調査対象における平均点及び標準偏差を基に標準得点を求めることで,今後の調査において,本調査対象を基準にして比較分析・評価を行うことが可能となった。加えて,今後の批判的思考スキルの指導に関する研究において,手立ての事前事後に本動画コンテンツを用いることで,その方法の有効性を評価できることが示唆された。