2025 年 66 巻 1 号 p. 211-218
本研究では,浮力の学習における「水中の物体の体積が浮力の大きさを規定する」ことを定量的に捉えることを目的として,既存研究で提案されている「石釣船」モデル教材の改良を試みた。高等学校における使用を想定し,船と石の質量および体積から,船が運搬できる石の最大個数を定量的に予測することができ,それを実際に検証できる教材へと発展させた。開発した教材の検証の結果,石の最大運搬可能個数は予測した個数と概ね一致し,「水中の物体の体積が浮力を規定する」ことを捉える教材としての有用性の一端が確認された。一方,石を下に吊るした場合に,予測した最大運搬可能個数よりも1個少ない結果が最も多くなり,上に載せた場合との結果に差異が見られた。この原因として,船全体の重心のずれに起因する船の傾きが考えられた。