2025 年 66 巻 1 号 p. 237-247
本研究では,校内研究における授業検討会及び研究方針策定会で得られた知見をもとに指導略案を作成し,理科の授業を実施・参観者による協働省察をすることで,その効果を事例的に検討することを目的とした。第1回研究授業・授業検討会において実施された授業や指導略案・アンケートによる記述をもとに,研究方針策定会で①比較検討,②難しい課題に向き合う,③明確な宛先を持つ,④実生活に根差した問い,の4つが深い学びを促す工夫として抽出された。第2回研究授業・授業検討会では,石井ら(2017)の提唱するRound Study形式を取り入れた授業検討会を実施し,その事後アンケートによる記述を分析した。分析で得られた知見をもとに,指導略案を作成し,「光による現象」の単元で②難しい課題に向き合う,と④実生活に根差した問い,の2つの工夫を取り入れた授業実践をした。授業を参観した教師たちでの協働省察と生徒の成果物等から,授業検討会で得られた知見が活かされた授業であったことが確かめられた。また,まとめにあたるふりかえりに十分な時間を確保することができれば,より学びが深まる可能性が示唆された。