Skin Cancer
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一般演題
甲状腺癌を合併した背部メルケル細胞癌の1例
遠藤 雄一郎加藤 真弓是枝 哲宮地 良樹
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2010 年 25 巻 3 号 p. 328-330

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抄録

63歳,男性。半年前に自覚症状に乏しい紅色の類円形のドーム状腫瘤が左背部皮膚に生じ拡大した。皮膚生検ではサイトケラチン20陽性の神経内分泌癌であった。FDG-PET/CTでは肺野に異常影はなく,左腋窩リンパ節の腫大を認めた。以上よりメルケル細胞癌,腋窩リンパ節転移と診断した。皮膚悪性腫瘍切除,菱形皮弁再建,左腋窩リンパ節郭清を施行し,術後50Gy/25回の放射線療法を追加した。通常は,メルケル細胞癌は頭頸部,四肢などの露光部に多く,本症例のように体幹部に発生するのは全症例の10%前後と比較的少数とされる。また,本症例では術後に甲状腺乳頭癌を強く疑われる腫瘍を指摘された。メルケル細胞癌罹患後の悪性腫瘍の合併で頻度が高いのは,唾液腺癌,胆管癌,非ホジキンリンパ腫が報告されている。調べ得た限りでは甲状腺癌の併発例の報告はなかった。背部が原発であることも含めて,本症例は稀な臨床経過をたどったと考える。

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© 2010 日本皮膚悪性腫瘍学会
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