Skin Cancer
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第29回日本皮膚悪性腫瘍学会
劣性栄養障害型表皮水疱症患者に生じた難治性の潰瘍を呈した有棘細胞癌の1例
秦 洋郎青柳 哲宮内 俊成伊東 孝政本間 英里奈新熊 悟有田 賢清水 宏
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2013 年 28 巻 2 号 p. 160-163

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抄録

 症例は表皮水疱症,‘劣性,その他の汎発型’の44歳女性。3ヵ月前に生じた左下腿前面の有棘細胞癌の切除目的に当科入院した。入院時,右アキレス腱部にも難治性の潰瘍があり,同時に生検したところ,同様に有棘細胞癌であった。劣性栄養障害型表皮水疱症患者の合併症として有棘細胞癌の発生は高頻度だが,自験例のように,全身に散在するびらんあるいは潰瘍と臨床的に区別できない病変でも,組織学的に有棘細胞癌であったことは特筆すべきである。劣性栄養障害型表皮水疱症患者を長期間フォローする場合には,患者の加齢にともなって有棘細胞癌の発生率および死亡率が上昇することを念頭に置いて,難治性の潰瘍に対しても積極的に生検をすることが重要である。

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© 2013 日本皮膚悪性腫瘍学会
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