2013 年 28 巻 2 号 p. 164-168
69歳,男性。初診の6年前から前胸部に正常皮膚色の腫瘤を自覚した。その後,腫瘤が増大を認めたために,当院皮膚科を受診した。前胸部正中上方に20mm×20mmの赤色調腫瘤を認めた。Incisional biopsyを施行し,エクリン汗孔癌(Eccrine porocarcinoma:EPC)が疑われた。加療目的に当科紹介となった。CTなどの全身検索では,転移を示唆する所見は認めなかった。広範囲切除し,病理組織学的診断はEPCであった。2011年にBelinらは,Robson’s criteriaに基づき病理組織像をinfiltrative,pushing,pagetoidのsubtypeに分類し,再発率が異なることを示した。自験例のsubtypeはinfiltrativeであった。EPCの治療の際には,病理組織像でのsubtypeでの評価が重要である。