Skin Cancer
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一般演題
右傍胸骨部に生じた神経内分泌分化を示す皮膚原発アポクリン腺癌の1例
飯島 茂子神崎 美玲真壁 郁長倉 成憲菅野 雅人坂田 晃子野口 雅之
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2015 年 29 巻 2 号 p. 165-170

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抄録

80歳,男性。2002年より右胸部にざ瘡様の皮疹が出現したが放置。2012年8月初診時,右傍胸骨部に20×19×5 mm大の広基性紅色腫瘤があり,表面はびらんを伴い易出血性であった。全身検索にて転移なし。汗腺系悪性腫瘍,無色素性悪性黒色腫などを疑い,広範切除,全層植皮術を行った。病理組織学的に,ルーペ像では,真皮内に主座を置く左右非対称性,隆起性病変であった。腫瘍細胞の構築は,充実性胞巣状,索状,リボン状を呈し,ごく一部に断頭分泌がみられた。個々の細胞は比較的均一な類円形核と好酸性の胞体を有した。免疫染色にてCAM5.2,EMA,CK7,GCDFP-15,シナプトフィジン,クロモグラニン,CD56,ER,PR陽性,CK20,HER2陰性。追加検査にて乳癌は否定的であったことより,神経内分泌分化した皮膚原発アポクリン腺癌と診断した。センチネルリンパ節生検を希望せず,タモキシフェン20 mg/日の内服を開始。術後1年8ヵ月の現在,局所再発・転移なし。

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© 2015 日本皮膚悪性腫瘍学会
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