2017 年 32 巻 1 号 p. 28-32
2009年1月〜2015年12月の期間に岩手医科大学附属病院皮膚科において手術を施行した皮膚原発有棘細胞癌152例の集計を行い,センチネルリンパ節生検の意義,適応症例について検討を行った。病理組織学的に皮膚原発有棘細胞癌と診断した152例中76例にセンチネルリンパ節生検を施行し,6例が転移陽性で(陽性率7.9%),全てT2症例だった。転移陽性症例のうち5例に所属リンパ節郭清を施行し,いずれも現在まで再発転移なく経過している(平均観察期間28.3ヵ月)。センチネルリンパ節生検による早期のリンパ節転移の発見が,予後の改善に寄与する可能性が考えられるが,現在この点に関して確立したエビデンスは存在していない。今後,センチネルリンパ節生検の有用性に関しては,さらに症例を蓄積し,予後の観察を長期的に行い,十分なエビデンスで検証される必要があると考える。