2017 年 32 巻 1 号 p. 33-38
68歳,女性。2015年3月右腋窩リンパ節腫脹を自覚した。近医でリンパ節生検をうけ悪性黒色腫と診断された。その後右背部に皮膚原発巣を指摘され,6月に前医で皮膚悪性腫瘍切除術,全層植皮術,右腋窩リンパ節廓清術を施行された。術後補助療法目的に当科を紹介され,ダカルバジン点滴とインターフェロンβ局注療法を2コース施行したが,9月に左顎下,左副腎などの多発転移に加え右脛骨,大腿骨などに多発骨転移が出現した。原発巣切除標本のBRAF変異が陽性であり,ベムラフェニブの内服を開始した。内服19日目より右脛骨,大腿骨骨転移に対し全39 Gy/13 Frの放射線照射治療を併用した。27 Gy終了時より右膝前面から膝裏にかけて紅色小丘疹と水疱が出現した。さらに照射部位に一致して境界明瞭な紅斑が出現し,33 Gy終了時は右下肢の浮腫と紫斑が出現した。重度の放射線皮膚炎と判断し,ベムラフェニブにより増感されたと考えた。