2019 年 33 巻 3 号 p. 221-225
76歳,男性。初診の1年前より右耳前部に腫瘤が出現,徐々に増大した。初診時,25×20 mmの角化性紅色腫瘤を認め,一部生検で組織学的に高分化SCCと診断された。頸部CTで腫瘤の耳下腺浸潤が疑われ,MRIで腫瘤は耳下腺浅葉に隣接,耳下腺内外に結節を認め,PET-CTでは耳下腺下端表層の結節に強い集積がみられ,リンパ節転移が疑われた。顔面神経の損傷を防ぐため,神経刺激装置Nerve Integrity Monitor(NIM)System使用下に皮膚腫瘤と耳下腺浅葉を一塊として拡大切除およびリンパ節生検を施行した。組織学的に,表皮より連続性に核異形のある好酸性の腫瘍細胞が皮下中層まで増殖し,腫瘍巣内にhorn pearl,周囲にリンパ球の密な浸潤と線維化を認め,腫瘍厚は8.7 mmであったが,耳下腺やリンパ節に腫瘍細胞はみられなかった。術後1年3ヵ月まで再発転移および顔面神経麻痺を認めない。