2019 年 34 巻 1 号 p. 35-40
症例1:60歳,男性。2015年,食道悪性黒色腫と診断された。BRAF変異陰性。後腹膜,腸間膜に多発転移あり。ニボルマブ投与を開始し,腹膜播種病変は画像上消失した。原発巣と近傍のリンパ節転移は残存したため,食道亜全摘+所属リンパ節郭清術を施行した。術後,ニボルマブ投与を再開したが,脳転移が出現。イピリムマブ投与に変更し,全脳照射を施行したが,永眠された。
症例2:72歳,女性。2015年,食道悪性黒色腫と診断された。BRAF変異陰性。PET/CTにてL2椎体に転移あり。ニボルマブ投与により転移巣は画像上消失し,原発巣は色素沈着のみとなった。ニボルマブ投与継続していたが,食道原発巣の再発を認め,食道亜全摘+所属リンパ節郭清術を施行した。術後,無治療で経過観察中であるが,現在のところ再発,転移はない。進行期の食道悪性黒色腫にニボルマブが奏効した2例を経験したので,報告した。