Skin Cancer
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一般演題
特異な経過を示した血管肉腫の1例
国本 佳代川口 亜美奥平 尚子山本 有紀藤本 正数村田 晋一神人 正寿
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2019 年 34 巻 1 号 p. 41-45

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抄録

血管肉腫は高齢者の頭部に好発する稀な軟部肉腫で,軟部悪性腫瘍の約1%を占める。治療法としては外科的治療や放射線治療,化学療法が行われるが,5年生存率は約10%と予後不良である。NUP160-SLC43A3融合遺伝子の存在が2015年に報告されており,融合遺伝子陽性例では腫瘍の進展が速い可能性が示唆されている。

症例は69歳,男性。右頬部の血管肉腫の診断で化学療法を施行し寛解状態となった後,通院を自己中断していた。初診から8年後,右下顎部の皮下腫瘍を主訴に当院を受診し,病理所見から血管肉腫と診断された。右頬部および右下顎部の2つの病変はNUP160-SLC43A3融合遺伝子が共に陽性で右下顎部の腫瘍は右頬部血管肉腫の転移である可能性が高いと考えられた。過去の報告と異なり,融合遺伝子陽性であるが進行が緩徐な症例であった。今後融合遺伝子の臨床的意義を解明していく必要がある。

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© 2019 日本皮膚悪性腫瘍学会
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