2019 年 34 巻 1 号 p. 46-49
66歳,男性。右前胸部に被覆表皮が紅色の皮下腫瘤を自覚した。近医にて切除されたが,病理検査は施行されなかった。切除1年後同部位に腫瘤の再発を認め,全摘組織では,病理学的に皮膚型皮膚平滑筋肉腫と診断された。側方断端陽性であり,精査,追加治療目的に当科紹介受診した。PET-CTで,右腋窩の腫大したリンパ節にFDGの集積を認め,転移が疑われた。拡大切除と,右腋窩リンパ節生検を施行した。病理組織所見で,原発巣の腫瘍細胞は真皮深層までの浸潤で,腫瘍細胞の残存がみられたが断端は陰性。リンパ節に腫瘍細胞は認めなかった。一般的に予後良好とされる皮膚型の皮膚平滑筋肉腫であっても真皮深層にまで腫瘍細胞の浸潤を認めたため,慎重な経過観察が必要と考えた。