2022 年 37 巻 1 号 p. 46-51
77歳,男性。16歳時より右手掌に腫瘤を自覚していた。当院整形外科を受診し施行されたMRI画像ではT2拡散強調像で内部不均一の高信号であり,腫瘤背側には充実成分が疑われた。悪性腫瘍の鑑別のため,専門施設に紹介となり針生検が施行されたところ表皮囊腫の診断となり,当科紹介受診となった。表皮囊腫疑いで全摘したところ,病理標本上,角化細胞に類似した腫瘍細胞が囊腫壁に連続して不規則に分布しており,囊腫型有棘細胞癌と診断した。追加切除を行い,植皮術とV-Y皮弁術で再建した。術後3年で再発や転移は認めていない。囊腫型有棘細胞癌の見逃しを防ぐには表皮囊腫を腫瘍性病変の可能性があるものとして扱った全摘生検が好ましいと示唆された。