2023 年 38 巻 2 号 p. 142-147
77歳,男性。頭部に複数の結節が出現し近医皮膚科を受診。生検で血管肉腫と診断され当院を紹介受診。初診時,左前額部から頭頂部に多発する紅色結節,紫斑を伴う腫瘤あり。CTで左頸部から鎖骨上窩に多数のリンパ節腫大を認め,穿刺吸引細胞診で血管肉腫の転移と診断。Weekly-パクリタキセルを開始したが手指のしびれが強く,6回投与で中止した。前医の生検検体を用いたがん遺伝子パネル検査で腫瘍遺伝子変異量(tumor mutational burden:TMB)が31 Muts/Mbと高値でありペムブロリズマブの適応と判断,200 mg/Q3wで治療を開始した。しかし,頻回の通院が困難との理由でペムブロリズマブは2回投与で終了した。投与終了から6ヵ月後には頭部の腫瘤は消失し,頸部リンパ節腫脹も縮小しており臨床的に完全奏効と判断。頭部血管肉腫はTMBが高いとされることから,積極的にがん遺伝子パネル検査をすべきと考えた。