Skin Cancer
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38 巻, 2 号
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第39回日本皮膚悪性腫瘍学会
教育講演
シンポジウム
ワークショップ
一般演題
  • 陣内 晃子, 田中 隆光, 伊藤 誠時, 深谷 早希, 林 耕太郎, 石川 武子, 鎌田 昌洋, 沼倉 里枝, 笹島 ゆう子, 多田 弥生
    2023 年 38 巻 2 号 p. 130-135
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル 認証あり

    73歳,女性。出生時より腰背部に扁平な黒色斑があり,1週間に1~2回ドライアイスで凍結療法をしていた。瘢痕が目立つようになり10歳で中断。約3年前から背部に瘙痒を伴う皮疹が出現し精製白糖・ポピドンヨード配合軟膏を外用されるも改善せず。背部から腰にかけて約50cm大の境界明瞭な灰青色から褐色の色素斑を認め,その上に白色調の瘢痕が散在し,4個の結節と2個の紅斑。結節の内訳は辺縁が堤防状に隆起し中央に潰瘍を伴う5cm大の結節,辺縁が点状の黒色斑で縁取られた2cm大の扁平隆起性結節が2個,2mm大の黒褐色結節で,いずれも弾性硬で下床との可動性良好。組織は典型的な基底細胞癌。さらに類円形から不整形の鱗屑の付着した紅斑が2個あり,組織はBowen病。腫瘍辺縁の色素斑の真皮内に母斑細胞が孤立性に散在。腫瘍は全て切除し断端陰性で半年で再発なし。これまでに雪状炭酸圧抵療法による基底細胞癌とBowen病の併存報告はなく,既報告18例をまとめた。

  • 宮原 華子, 四十竹 麗, 前田 朱美, 本田 理恵, 伊藤 周作, 内川 容子
    2023 年 38 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル 認証あり

    30歳,女性。前胸部痛で他院を受診し,貧血と約3年前からある背部腫瘤を指摘され当院受診。Hb 2.7 g/dL,TP 5.2 g/dL,Alb 1.0 g/dL,身長157 cm,体重36.3 kg,BMI 14.7。右上背部に小児頭大の淡紅色懸垂性腫瘤を認め,一部潰瘍を伴い石灰化様病変が露出していた。生検にて石灰化上皮腫を疑い,手術に備え輸血しHb 8g/dL台まで回復したが,貧血の改善に伴い腫瘤の増大と,潰瘍部から出血が目立つようになり栄養動脈のTAEを施行した。TAE後は出血や増大傾向なく,全身麻酔下に基部で切除した。大きさや臨床像からpilomatrix carcinomaも鑑別にあがったが,全摘標本でも石灰化上皮腫であった。切除後に貧血もるい痩も顕著に改善し,良性にも関わらず巨大なため全身状態に大きな影響を及ぼしていたと考えた。

  • 吉田 諭, 白石 研, 八束 和樹, 桑折 信重, 武藤 潤, 丸山 美鈴, 長谷部 晋士, 薬師神 芳洋, 村上 正基, 藤澤 康弘
    2023 年 38 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル 認証あり

    77歳,男性。頭部に複数の結節が出現し近医皮膚科を受診。生検で血管肉腫と診断され当院を紹介受診。初診時,左前額部から頭頂部に多発する紅色結節,紫斑を伴う腫瘤あり。CTで左頸部から鎖骨上窩に多数のリンパ節腫大を認め,穿刺吸引細胞診で血管肉腫の転移と診断。Weekly-パクリタキセルを開始したが手指のしびれが強く,6回投与で中止した。前医の生検検体を用いたがん遺伝子パネル検査で腫瘍遺伝子変異量(tumor mutational burden:TMB)が31 Muts/Mbと高値でありペムブロリズマブの適応と判断,200 mg/Q3wで治療を開始した。しかし,頻回の通院が困難との理由でペムブロリズマブは2回投与で終了した。投与終了から6ヵ月後には頭部の腫瘤は消失し,頸部リンパ節腫脹も縮小しており臨床的に完全奏効と判断。頭部血管肉腫はTMBが高いとされることから,積極的にがん遺伝子パネル検査をすべきと考えた。

  • 加倉井 真主, 石月 翔一郎, 安重 佳祐, 石井 良征, 乃村 俊史
    2023 年 38 巻 2 号 p. 148-153
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル 認証あり

    症例1:79歳,女性。初診4年以上前から右耳介後面に結節を自覚し,次第に増大したため,当科を紹介受診した。右耳介後面に有茎性腫瘤があり,腫瘤と連続して黄白色の疣状局面がみられ,局面内に青灰色の小結節を認めた。皮膚生検より腫瘤は脂腺癌,疣状局面は脂腺母斑と診断した。その後,腫瘤と疣状局面を全切除し,疣状局面上の小結節は毛包上皮腫様の病変であった。症例2:70歳,女性。出生時より右頬部に疣状局面があり,初診1年前に疣状局面上に結節が出現した。前医で結節を切除され,脂腺癌の診断で当科を紹介受診した。疣状局面を含めて全切除し,脂腺母斑に発生した脂腺癌と診断した。当科で病理組織学的に診断した脂腺母斑91例中,二次腫瘍は14例に発生し,そのうち悪性腫瘍は,本症例の脂腺癌2例を含む7例に発生したことから,患者には二次腫瘍が悪性である場合が少なくないことを説明する必要があると考えた。

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