2024 年 39 巻 3 号 p. 247-252
85歳,男性。右頬部の紅色結節に,疼痛,出血が生じたため当科紹介となった。皮膚生検するも診断確定に至らず,経過観察していたところ急速に増大,出血量が増加し止血困難となり,外科的に切除した。病理組織学的に,表皮の一部が欠損し,真皮浅層から脂肪織に好酸性の腫瘍細胞がびまん性に増生,広範に出血や壊死を伴っていた。強拡大像で好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞の索状の増生を認め,免疫組織化学染色でCD31(+),Factor XⅢ(+),Vimentin(+),CK AE1/AE3(+,focal)であり,epithelioid angiosarcomaと診断した。Epithelioid angiosarcomaはangiosarcomaの形態学的亜系の一つであるが,angiosarcomaよりもさらに予後が悪い可能性があると報告されている。皮膚原発例はさらに少なく,診断に難渋することがあり,病理組織学的検査および免疫組織化学染色検査による診断が重要となる。