2024 年 39 巻 3 号 p. 266-269
症例は67歳,女性。10年前より緩徐に増大し,当院初診時に右乳房外側下方に7×7cm大の黒色皮膚腫瘍を認めた。全身検索中に右肺上葉に2 cm大の肺癌が見つかり,当院初診2ヵ月後に胸腔鏡下右上葉切除術および所属リンパ節郭清術施行し,その1ヵ月後に皮膚悪性腫瘍切除術および右腋窩センチネルリンパ節生検を施行した。肺癌はpT1bN0M0のStage ⅠA2,悪性黒色腫はtumor thickness 5 mm,リンパ節一つに転移あり,pT4aN1M0のStage ⅢCであった。BRAF陰性であり,術後化学療法としてpembrolizumabを1年間投与し,現在術後5年間無再発生存している。本症例のように体の深部の侵襲の大きい手術から行うという考え方もあるが,生命予後を決めてしまう疾患の手術から行うのが一般的と考える。今後も高齢化に伴い,他悪性腫瘍の偶発的な発見症例の増加が予想されるが,加療順序や術後療法などにつき,術前にはわかりにくい腫瘍深度や転移の有無も想定して加療計画を立てる必要がある。